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悪戯異端児ここは黒嬢が運営するBL系、非公認二次創作小説サイトです 実在の人物,団体,会社,作者様とは、一切関係ありません ~小説中心・naruto(シカマル)中心・他ジャンル有り・突発的エロ表現有り~PAGE | 2 7 6 5 4 3 | ADMIN | WRITE 2009.12.03 Thu 17:01:18 そう云えばこんなこともあったのだと、俺はアンタの隣で笑い合って。白い煙が揺れる。 温かいとは程遠い、冷たい風が隙間を通り過ぎる。 俺とアンタの間の隙間を。 アンタと同じ銘柄の、苦い煙草を吸いながら、俺は空を見上げていた。 アンタの隣に座り、冷たい石に手をつきながら。 手から伝わるその石の冷たさが、体中に染み渡る。 けど、そんな事も気にせずアンタの隣にいた。 なんとなく、今はアンタの側にいたい気がしたから。 こんな事アンタに言ったらきっと恥ずかしさも気にせずに、思いっきり抱きしめてくるんだろうな。 「・・・はぁー・・・さみっ・・・」 そろそろ春だというのに、いっこうに暖かくなる様子はない。 いやむしろ、もう春なのではないだろうかと、疑問に思ってみたが、全ては定義しだいだと結論づけた。 秋とは違い、こういう季節は寒いと空の色が悪い。 青空というよりも、曇り空にかなり近い空を見上げながら苦笑した。 まぁアンタは雨じゃなければいいと、あまり空には興味を示さないだろうけど。 俺としては、せっかくアンタに会うんだから、やっぱり良い空の方がいいと思う。 アンタと、どうせなら俺の好きなものを共有したいしな。 それに、アンタの煙草の白い煙は、青い空のほうが映える。 「・・・そぉいやぁー・・・」 ふと空と白い煙の事を考えていたら、会って少したった頃の事を思い出した。 アンタが俺の担当上忍になり、そして修行し始めた頃。 まだ俺も下忍成り立てで、こんな具合で任務なんてこなせるのだろうかと、疑問にも思っていた。 アンタも教える気があるのかないのか微妙で、たぶんまだ俺たちを観察していんだと思う。 修行や任務帰りには必ずと言っていいほど、甘栗甘に寄っておごってもらっていた。 そしてちょっとしたランクの高めの任務の帰りには、焼肉を。 アンタの財布の中身を何度気にしたことか。 そうやっていた日々の中で、一度大きなヘマをした事があった。 気がつけば俺は、アンタの腕の中に納まり、山のどこかにあったのであろう洞窟にいた。 見ればアンタは足を負傷し、そして全身傷らだけ。 俺はなんとなくだけど、肋骨を少し折った事がわかった。 「あん時は・・・まじヤバイって思ったな・・・」 思い返して苦笑する。 全ては予想外の敵の出現とか、そんな事ではなかった。 いのが崖から落ちそうになったのを俺が助け。 けれどその反動で俺が崖から落ち、アンタが俺を助けようと追いかけた。 なんか馬鹿みたいだ。 アンタも俺も。 「・・・けど・・・」 洞窟の中に、外で激しく降る雨の音が響く。 その冷たい音に、俺は微かに震えた。 「・・・どうした?寒いのかシカマル?」 俺の体を気遣うように抱きしめたい温かい腕が、さらに包むように俺を抱きしめた。 その温かさにホッとする。 けど、そんな事を言うわけも、表情に出すわけもない。 「・・・別に・・・それいうならアンタのほうが寒そうだぜアスマ。」 ベストを俺に着せているせいで、ひどく寒そうなその姿。 洞窟の中は意外に寒くなるもので、ベストを着せてもらっているが、それでも寒かった。 そこにまた外は雨ときたから、さらに冷える。 大丈夫なのだろうかとその顔を見上げてみると、そこにはやはり寒いのか、堪える表情。 そういうところが先生らしいなと、苦笑した。 「ここでアンタに倒れられたら俺困るんだけど?」 「俺はそんなやわじゃねーよ。このぐらい大丈夫だ。」 そういいながらも微かに震えているその腕。 その様子に俺は苦笑しながら、そっとその腕の一つを包むようにした。 そんな俺の行動に驚いているのが、面白いぐらいに分かった。 「あんま変わんねーかもだけど・・・ないよりはましだろ?」 ドクドクと波打つ鼓動を感じる。 それは自分のか、それともアスマのなのかは分からない。 もしこれが自分のだったら、アスマに聞こえてしまうかもしれない。 そう考えて恥ずかしい気がしたが、その腕を離さなかった。 温かい腕に、絡みつくように包み込む。 二人の間を行き来する熱。 その心地よさに俺は、ゆっくりと瞳を閉じた。 * * * 「・・・温かかった・・・」 眠りから覚めた時には、もうすでに木ノ葉の病院だったが、腕の熱はまだそこにあるような気がした。 自分の体に染み付くように、その温かさが。 その温かみを思い出して、思わず頬が緩んだ。 「アンタとの始まりは・・・もしかしてその時だったの・・・かもな・・・」 アンタの温かさを知った、あの時。 「なぁ・・・ちゃんと覚えてるか?」 横のアンタへと声をかける。 冷たい石についていた手を上げ、そしてそっとアンタに触れた。 「ったく・・・メンドクセーけど俺は全部覚えてるんだからな・・・」 アンタは冷たいなと呟いた。 そして包み込むように腕をまわした。 あの時のように。 「・・・俺はいつまでも覚えてるからな・・・」 そう言って、笑ってみせた。 アンタもきっと笑ってるだろうと、そう思いながら。 白い煙と花が風に揺れる。 一つの冷たい墓石の前で。 {あとがき} †SeventhHeaven†様主催の素敵企画に投稿させていただきましたアスシカです。 お題は、[そ]そう云えばこんなこともあったのだと、僕は君の隣で笑い合って。 もうこのお題を見た瞬間、書きたいと思いまして、恐れ多くも投稿などといった事をしてしまいました。 PR TrackbacksTRACKBACK URL : CommentsComment Form |