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悪戯異端児ここは黒嬢が運営するBL系、非公認二次創作小説サイトです 実在の人物,団体,会社,作者様とは、一切関係ありません ~小説中心・naruto(シカマル)中心・他ジャンル有り・突発的エロ表現有り~2009.12.03 Thu 17:14:23 「ごめん」 8000キリリクわりぃ・・・・・・
慰霊碑の前、アイツの名を見つめていた。 深く刻まれた、消える事のない名。 そっと慰霊碑に触れると、まるであの時のアイツの様に冷たかった。 気がつけば、5年前のあの日は一番最後に書かれていたアイツの名の下には、他にも何人かの名前が追加されていた。 全てアイツと同じように散ったもの。 どれだけ、俺と同じように、涙をこの前で流した者がいるのだろうか。 どれだけ、俺と同じように、刻まれた名を呼び続けた者がいるのだろうか。 「・・・アスマ・・・」 人差し指でアイツの名をなぞりながら、静かに呟いた。 どれだけアイツを想っても、どれだけアイツの名を呼んでも、意味ないのに・・・ 「シカマル。」 呼ばれた名に振り向けば、いつものように優しい笑みを浮かべて、カカシさんがいた。 俺をあの日から誰よりも心配してくれた人。 アスマの遺言にあったらしく、この人はずっと俺を支えてくれた。 今俺が涙しないで此処にいるのはこの人のおかげかもしれない。 「カカシさん・・・どうしたんですか?」 こんな所で、と歩み寄る。 いつのまにか身長が伸びた俺は、カカシさんよりちょっと小さい程度となっていた。 昔は見上げていた事ももう思い出せない。 「いやだな~シカマル~ 今日は一緒に任務だって事忘れちゃった?」 「ちゃんと覚えてますよ。でもまだ1時間後ですよね?」 ちょっと拗ねたように言うカカシさんに苦笑した。 この人のこういう所は昔から変わらない。 いつもクールな中で、こういった子供のような事をする。 それがきっと畑カカシの魅力の一つだろう。 「シカマル?・・・もしかして時間読めなくなっちゃった?」 「え?・・・」 首をかしげ、ちょっと冗談ぽく言うカカシさんの目が、その声とは裏腹に不安に揺れていた。 それに気がつき、即座に時間を確認した。 見れば、もう集合時間5分前。 「・・・あ・・・」 「シカマルはいつも10分前に来るから、どこかで迷子になってるのかな~って探しにきたの」 でも迷子の小鹿ちゃんになってなくて良かった、と冗談を言うカカシさん。 けど、俺の頭を撫でる手は、意外にも微かに震えていた。 心配をかけてしまった。 「あっ・・・すみません・・・」 俺らしくない事だ。 時間を忘れてしまうぐらい、アイツの事を考えてしまうなんて。 そんな事、もう最近ずっと無かった。 「そんな事言ってないで、早く集合場所行こうか」 「あ・・・はい・・・」 腕を引っ張られて、アイツの名に別れを言える事なく、その場を後にする事となった。 集合時間になっても来ないあの子。 そのぐらい誰でもあるだろう、そう片付けてもよかった。 けど、あの子の事をずっと側で見てきたせいだろうか。 今シカマルが何か悲痛な叫びを上げているような、そんな気がした。 それに、アイツの命日も近い。 あの子の心が不安定になっていてもおかしくなかった。 同僚にすぐに戻ってくると言い、すぐさまあの子のもとへ向かった。 別にあの子があそこに居るとは限らない、そう思ったが、何故か居る気がした。 足は自然とあそこ、慰霊碑へと向いていた。 「シカマル。」 案の定、そこにあの子はいた。 冷たく、何一つ応えてはくれない慰霊碑の前、何も言わずに立つ姿。 振り返ったあの子は驚いているようであった。 そんな様子のあの子へと、いつもどおりの笑みを向ける。 「カカシさん・・・どうしたんですか?」 そう言いながら歩み寄るシカマル。 シカマル。 俺がずっと昔から想い続けている相手。 けど彼はアスマの恋人。 その全てが、俺の親友のアスマのもの。 そして、俺があの日からアイツの代わりに守り続けている大切な人。 あの日、アイツの命日となる数日前。 アイツは俺に一つの封筒を渡してきた。 それが遺書である事はすぐに分かった。 忍なら普通皆書くものだから、それほど気にする必要もなかった。 俺は黙ってそれを受け取り、そして生きて帰って来いと伝えた。 そんな俺の言葉に、アイツは笑いながら、おぅと言った。 まさかそれがアイツとの最後だとは、正直考えていなかった。 忍は死と隣り合わせに生きている。 それは分かっていた。 少なくとも、分かっていたつもりだった。 けど、アイツは、あの子、シカマルが居る限り、何故か死なないような気がしていた。 それは俺の勝手な考えであったようであるが。 アイツの遺書を開く時、ガタガタと手が震えて、なかなか上手くいかなかった。 いつものアイツからは想像ができないほど、綺麗に折られた三つ折の白い手紙。 そこに綴られていたのは、謝罪とシカマルを頼む、ただその二つ。 綺麗な手紙とは反対に、えらくアイツらしいその文面。 きっとアイツの事だ。 シカマルには手紙の一つもないのだろう。 アイツは自分のせいで人が悲しむ事など絶対に嫌だろう。 早く自分の事など忘れてほしい、そんな単純な事を考えているのだろう。 アイツはそういう奴だ。 単純で不器用で優しい。 アスマの馬鹿と、その手紙を握りつぶしながら泣いた。 そして約束した。 これが最後の涙だと。 そしてアイツの大切なものを守ることを。 でもある日突然、人生の分岐点が訪れる。 「シカマル。」 読書をしていたらカカシさんの声が上からした。 本から視線を上げると、そこにはちょっと怒った様子の顔。 「・・・カカシ・・・さん?・・・」 「・・・何度夕飯だよ、って言えばいいのかな~?」 にっこりと飛び切りの笑顔のカカシさん。 正直怖いので、そういう顔をしないでください、と言いたい。 「あー・・・すみません。」 本を横に置くとソファから立ち上がろうとした。 けど、その動作がカカシさんによって妨害された。 何だろうと視線を上げれば、目の前には綺麗な瞳。 「っ!?」 驚いて後ろに下がれば、ソファに邪魔されバランスを崩した。 そんな俺の上からカカシさんが覆いかぶさってくる。 腕と腕に挟まれ、身動きがとれない俺にゆっくりとその整った顔が近づいてくる。 ゆっくりと、ゆっくりと。 あと数センチでキスされる、そんな所まできたとき、カカシさんの動きが止まった。 そして、その瞳が細められたかと思うと、微かな笑い声が聞こえた。 「シカマル・・・こういう時はちゃんと押し返さなきゃ、駄目だよ?・・・」 じゃないと襲われちゃうよ、と言い離れた。 俺はそんなカカシさんの様子にポカンと、口を開けた状態で止まってしまった。 そんな唖然としている俺が面白いのか、楽しそうに笑いながら台所へと戻っていった。 俺はその姿が消えると、ゆっくりと頭を抱えこんだ。 「・・・」 俺はなんで反応できなかったのだろうか。 カカシさんの言うとおり、普通だったら押し返すものだ。 あのままいっていたら、俺はキスされていた。 「・・・」 そっと自分の唇に触れると、目を閉じた。 俺は、押し返さなかったのじゃない。 押し返せなかったのだ。 あの瞳を見た瞬間、体が麻痺したかのように動けなかった。 きっと、それはあの人の潜在的な怪しい魔力のようなものなのだろう。 「・・・」 そうさ、俺にはアスマだけなのだ。 俺が愛しているのはアスマだけ。 俺がほしいのはアスマだけ。 いつまでも一緒にいたいのはアスマだけ。 抱きしめてほしいのはアスマだけ。 「・・・」 一つも今は叶わないけど・・・ 台所へと戻ると扉を閉めた。 そして足が力をなくしたように、背を戸に預けながら、その場にペタリと座りこんだ。 顔が燃えるように熱い。 俺はいったい何をやっているんだ。 さっき自分がしてしまった事が、何度も何度も頭の中を往復する。 そして、間近で見たシカマルの顔が頭から離れない。 その濡れた桜色の唇も。 その美しく光る漆黒の瞳も。 「・・・」 欲しい、そう思った。 いくら否定しようと思っても、自分の感情は誤魔化せない。 俺は確かに、あの子の全てを自分のものにしたい、そう思った。 何故突然。 震える手で口を覆いながら、ゆっくりと深呼吸をする。 収まらない動悸。 俺は前からシカマルの事が好きだった。 本当に大事であった。 けど、好きだという感情の前に、あの子はアスマのもの、そういう考えが先にでた。 それが俺のシカマルへの想いを違うものへと変えていた。 俺はアスマのようにシカマルの側に居ることはできない。 いやむしろ、したくない。 俺はアスマじゃない。 アスマの代わりとなる事はできないし、なりたくもない。 シカマルは今もアスマの事を愛している。 それは明らかだ。 そしてその想いは消える事はないだろう。 シカマルもアスマと同様に不器用だから。 さっきも俺は最初は冗談のつもりだった。 ちょっと困らせてみようかな、とその程度にしか思っていなかった。 きっとすぐに怒った顔をするか、困ったような声をあげるだろう、そう思ったから。 けど、違った。 シカマルは何もせず、ただ俺の事を見つめるばかりだった。 その瞳は、まるでアイツに向けるのと同じようだった。 ダンと強く床を叩いた。 腕を痛みが伝わる。 そんなわけないだろうと、唇を強くかむ。 少しでもそんな風に考えてしまった自分に腹がたった。 そしてその考えを払うように頭を左右に強く振り、ゆっくりと立ち上がった。 足元がふらつく。 「・・・大丈夫だ・・・」 きっとさっきのは気の迷いだ。 気持ちを誤魔化せないまま、俺は食卓についた。 あと少しでシカマルが入ってくるだろう。 それまでにいつもどおりの笑顔を作らなければ。 ふぅと長く息を吐くと、頭の中を空のようにするようにした。 それは人を殺める前に似ている。 そしてスッと目を扉へと向けた。 あの子が入ってくれば笑顔を作れる準備を完了する。 ガチャガチャと皿を洗う音がする。 布団の中でうずくまりながら、その音に耳を傾けた。 結局夕飯を食べに食卓まではいけなかった。 夕飯はいらないと言い、部屋に入ってしまったのだ。 カカシさんの作るご飯は美味しいのに、申し訳ない事をしてしまった。 けど、今は顔を見れない。 自分がどうしてしまったのか、理解できない。 自分がいったい何を考えているのか、分からない。 布団の端を手でギュと握ると、そっと布団から頭を出した。 どうやら皿洗いは終わったらしく、音がしない。 ホッとしてゆっくりと息を吐いた。 けど、どこか自分の中でひっかかる、違う感情があった。 でもきっとこれは何かの勘違いだ。 早く忘れてしまおう。 明日にはいつものように笑顔で挨拶しよう。 いつも通りの日々に戻ろう。 そうだ、それが一番いい。 俺にとっても、カカシさんにとっても。 自分に言い聞かせるようにすると、早く寝てしまおうともう一度布団に戻ろうとした。 けど、その瞬間トントンと音が静かな部屋に響く。 「・・・シカマル・・・ちょっといいかな?」 紛れもなくカカシさんの声。 扉の向こうから俺に呼びかける声。 優しい穏やかな声。 食卓で座ってまっていたが、あの子はいらないと言い、姿を見ることはなかった。 それは良い事なのか、どうなのか。 手元にあった箸を転がしながらボーと考えていた。 目の前にはもう既に冷えた夕飯。 俺の分と、シカマルの分。 そして今日の夕飯を少しずつ乗せた、小さな皿とタバコ。 アイツのためのもの。 あの日から欠かさず続けているから、もう習慣となってしまったようだ。 あの、アイツが消えたあの日から。 俺はどうしたらいいのだろう。 気の迷い。 そんな言葉でさっきは終わらせようと思った。 けど、考えれば考えるほど自分の気持ちが、誤魔化しようのないものだと分かってきてしまう。 簡単に言ってしまえば。 俺はシカマルが好きだ。 そしてあの子の事がほしい。 これは確実のようだ。 アイツのために用意したタバコを手にとる。 俺とは銘柄の違うそれに俺はいつも文句を言っていたっけ。 苦いとか、そんな事を。 サイドテーブルからライターを取ると、口に挟んだタバコに火をつけた。 タバコの先が赤く染まる。 その様子を見つめながら、ゆっくりと吸った。 やはり苦い。 「・・・やっぱりこれ美味くないよ・・・アスマ・・・」 そう呟くと立ち上がった。 聞こえてくるのはカカシさんの声。 気がつけば、その声に誘われるかのように扉の前にいた。 右手はドアノブを掴んでいた。 それをひねれば、目の前にはカカシさん。 俺を支えてくれた優しい人。 俺をアスマ以上に大事にしてくれた人。 やっぱりこの気持ちは誤魔化せない。 俺はカカシさんが好きなんだ。 その声を聞いて、俺はようやくわかった。 この気持ちを忘れてしまう事なんかできない。 俺はゆっくりと時計回りにまわした。 けどその動作は途中で止まった。 聞こえたのはアスマの声。 もう消えたはずのその優しい声。 『シカマル』 俺を呼ぶ声。 「・・・アスマぁ・・・」 声が耳から離れない。 ドアノブから手を離すと、崩れるようにその場に膝から座った。 なんで今更。 唇を強く噛んだ。 この扉を開ければ、俺を助けてくれる人がいる。 その腕の中でなら、俺はきっとアスマの事を忘れられる。 強く噛んだ唇から血がにじみ出る。 口内に染み渡る鉄の味。 何で今更アスマの声がよみがえるんだ。 目をつぶれば、さらに鮮明になるその声。 「・・・カカシ・・・さん・・・」 震える声でその名を呼ぶ。 そして俺はもう一度ドアノブを掴んだ。 * * * あれから十数年。 カカシは一つの墓の前に立っていた。 手には彼岸花。 彼のために用意したものだ。 「・・・もうあれから何年もたったね・・・」 しゃがむと、刻まれた大切なその名前を指でなぞる。 そしてそっと、その前に花を置いた。 「俺も歳とっちゃったなぁ~・・・」 ゆっくりと微笑むその表情は、あの頃と変わらない、優しいもの。 むしろ年月を経て、さらに柔らかみをもったようだ。 そんな彼の耳に、僅かな足音が入る。 忍らしい、あまり足音をさせないその歩き方。 彼もかなり成長したようだ。 その事が嬉しくて、思わず笑う。 「おぃカカシ。」 後ろからの声。 それと合わせて立ち上がる。 「遅かったね。」 振り返った先には、すっかり大人となったシカマルの姿。 右手は腰に当て、左手にはカカシと同じ彼岸花。 「急に暗号解読を頼まれてな。」 ほんとめんどくせーぜと、変わらないセリフ。 そんな彼の様子にカカシは苦笑する。 やっぱりあまり成長していないかもしれないと思った。 「お疲れ様奈良上忍。」 「その呼び方やめー」 カカシの横に来ると、墓へと花を投げた。 そしてポケットからタバコの箱を取り出し、それも放り投げる。 一本だけ残しておいたタバコに、慣れた様子で火をつけ、吸う。 吐き出した白い線はアイツの事を思い出させる。 「・・・あれからもうけっこう経ったな。」 「・・・そうだね。」 ゆっくりとシカマルが微笑んだ。 あの日。 互いへの気持ちに気がついてしまったあの日から。 彼らは別々に住むことにした。 シカマルは本家へと帰り。 カカシも、もとのアパートへと戻った。 アスマの事を忘れられないし、忘れたくない。 だからカカシさんとは一緒にいれない。 あなたは優しすぎるから。 そう言ったシカマルの言葉に、カカシは黙って頷いた。 深くは聞かない。 でもなんとなく分かった。 そんなシカマルの気持ちが。 感情なんて説明できるようなものじゃない。 それは分かっていた。 自分もそうだから。 「さてと。そろそろ行くか~」 「どこに?」 タバコを指で挟むとカカシへと視線を向ける。 するとカカシはとても楽しそうに指を一本上げた。 「パーティーだよ。」 そんなカカシの言葉に、シカマルは眉間にしわを寄せた。 この人はいったい何を企んでいるのだろう。 そんな事を考えている目。 それに気がついたのか、カカシはさらに楽しそうに笑う。 「『奥様聞きましたか~?あのドベ2の奈良シカマル君が、奈良家の当主になったそうですよ~』 祝いパーティーだよ。」 「とっても長い名前ありがとうございます。」 「俺センスいいでしょ?」 「抜群ですね。」 うんざりとした表情のシカマル。 そんな事も気にせずはしゃぐカカシ。 「それじゃ~皆待たせてるから行こ~」 シカマルの腕を掴むと、走り出した。 そんなカカシのせいでよろけながらも、シカマルは腕を掴まれながら走った。 「まったくアンタは・・・」 「惚れ直した?」 「どこからそうなる・・・」 指で挟んでいたタバコの火を指で消すと、そのへんに放り投げた。 そして盛大なため息をついた。 アスマが死んで十数年。 色々な事が変わった。 二人の関係。 二人の生活。 それぞれの人生。 けど一つだけ変わらない事がある。 それは二人、そしてアスマのみ知る事。 {atogaki} 8000hit のキリリク「カカシカ」でした。 那枯乙様、キリリクありがとうございました。 PR |